カリフォルニア

こんにちは。江原です。今日はBSAJメンバーの中でも数少ないカリフォルニア勢として、カリフォルニアで学生として暮らす魅力を紹介していきたいと思います。ボーディングスクール出願前の学校選びなどの際に参考にしていただけると良いと思います。ただし、比較対象となる東海岸のエピソードに関しては、僕が旅行で訪れたときの印象や人づてに聞いたものをもとに書いていくのでご了承ください。

まず、カリフォルニアに住む大きな魅力として挙げられるのは気候の快適さです。カリフォルニアと一口にいってもかなり広いのですが、基本的には一年を通して温暖な気候です。例えば、僕が今暮らしているサンディエゴでは先月(1月)でも夏日が続く週があったりと、冬とは思えないような天気のもと過ごすことができます。また夏も極端に暑くなることは少なく、日本の夏ほど湿気もないので一年を通して非常に快適です。
ついつい上を向いて歩きたくなります。

さて、天気がいいのがいかに魅力的かというのは、ボーディングスクールの集中するエリアである東海岸と比べないと伝わりません。他のブログを読んでいただければわかるように、アメリカ東海岸の冬は控えめにいってめちゃくちゃ寒いです。氷点下10度などは日常茶飯事なようで、極端に寒い日などには−30℃を下回り、メディアに「火星より寒い」という非現実的な見出しが踊る始末です。考えてもみてください。朝授業に行くために仕方なくベッドから体を起こしたものの、外を見ればどんよりとした曇り空で、外気は火星より冷たい。そんな状況で一日の始まりが気分よいものになるとは思えません。たとえ授業前にカプチーノを飲んだとしてもです。それに比べ、カリフォルニアでは常に日に当たれるので、気分が落ち込む日も、どんなに疲れている日も、なんとなく明るい気分になるものです。文章だと太陽のありがたみがあまりうまく伝わらないかもしれませんが、たかが天気、されど天気です。ただでさえ多忙でストレスの多い学生生活をどちらの気候で過ごしたほうが楽かは一目瞭然ですね。

また、天気がいいことのもうひとつのメリットしては、人間同士のコミュニケーションが増えることが挙げられます。人間気分が明るいと外交的になるものだと思いますし、例えば、キャンパスでたまたますれ違った友達とも、寒い東海岸であれば寒すぎて立ち話をする余裕など生まれなさそうなものですが、そんな心配とは無縁のカリフォルニアではちょっとした立ち話から面白いイベントの情報を手に入れたり、生活を豊かにするアイディアを思いついたりすることがよくあります。このような活発なコミュニケーション文化は、もしかしたらカリフォルニアの起業風土を支える一因かもしれません。

また、冬季の気候の良さは、一年を通して屋外スポーツが楽しめることを意味します。僕の場合、サッカーが大好きなので、冬の間雪のせいでサッカーができないのは致命的です。しかしカリフォルニアではそんな心配も露知らずで、冬学期も心ゆくまでサッカーボールと戯れることができるわけです。まあ南カリフォルニアではウィンタースポーツはできないのは少し残念ですが、これに関してはしょうがないですね。

気候と並んでカリフォルニアに住む魅力の両翼を成すのは人種問題です。今でも白人人口が全体の7割以上をしめるアメリカでは非常に珍しく、カリフォルニア州で最も人口が多い人種はヒスパニックだといわれています(合法居住者のみで)。そもそも歴史的にカリフォルニアはメキシコから併合されているので自然なことかもしれませんが。また、アジア人も全国的にみるとかなり多く、地域によってはアジア人がマジョリティかと思うときも少なくありません。まさに多様な人種がコミュニティを形成していて、外者である外国人留学生にとっても非常に住みやすい環境だと思います。

カリフォルニアに比べて東海岸の日本人留学生が極端に肩身の狭い思いをして生活しているかといえばそんなことは全くないと思いますが、どちらかと言えば東海岸のほうが白人至上主義をはじめとする人種差別が色濃い地域が多いように感じます。実際にカリフォルニアと東海岸両方の大学に通った知人も、アジア人への寛容性という意味では確実にカリフォルニアのほうが住みやすいと言っていました。もちろん、ボーディングスクールにはたくさんの留学生がいますし、基本的には多人種に寛容な姿勢を取っていると思いますが、街に出たときなどの雰囲気や体験が少し違ったものになってくるのかもしれません。参考として、東海岸の数多の都市の中でもマサチューセッツ州ボストンは比較的リベラルなことで知られていますが、そのボストンにもまだまだ人種関連のステレオタイプが残っているようで、少し前にハーバード大学の学生新聞に記事が載っていました。この記事の著者の学生はエルサルバドル出身の両親を持つヒスパニック系の学生で、彼が実際に体験した人種差別を振り返り、「(東海岸のハーバードではなくカリフォルニアにある)スタンフォードに行くべきだった」という見出しをつけています。

またカリフォルニアはLGBTQIAなどと呼ばれる性的マイノリティーに対しても寛容なことで知られています。総じて、自分とは必ずしも一緒ではない人間を受け入れることに強い正義を感じ、新しいものを受け入れることが得意な土地柄なのだと思います。ただし、カリフォルニアが人種問題など存在しない楽園か、といえばそれは大きな嘘になります。僕が普段接する人たちは、(少なくとも表面上は)他人種に対し非常に寛容ですが、そうでない人が起こしたいざこざなどもニュースになっています。解決しなければいけない問題はまだまだ多いですが、日本や東海岸に比べると、人種的マイノリティーとしての暮らしやすさは特筆すべきものだと思います。

そしてもうひとつ、カリフォルニアと日本との近さもカリフォルニア留学がおすすめの理由です。東京からカリフォルニアのサンフランシスコまでは9時間ほどのフライトですが、東海岸のニューヨークまでは13時間ほどかかります。移動時間の長さは体への負担ですし、時差的にも東海岸よりカリフォルニアのほうが日本時間に近いので、日本との連絡も負担になりにくいと思います。また、物理的に近いのはもちろんですが、日本人の人口が多いのもカリフォルニアのひとつの良さだと思います。ハワイをのぞけば、日本人人口の割合が多い米国都市はほとんどカリフォルニア州にあり、当然日系スーパーや日本料理店の数も多いです。日本での生活からアメリカの生活習慣に慣れるのは大変ですが、そんな中でも日系スーパーに行ったり日本食を食べる時間はちょうどいい息抜きになると思います。

ここまでカリフォルニアの魅力をだらだらと紹介してきましたが、もちろんカリフォルニアに住むことのデメリットもあります。ひとつめは、自然災害の多さです。カリフォルニアにはサンアンドレアス断層という大きな断層があり、それが原因で大地震が起こるリスクが指摘されています。日本でも地震のリスクは高いですが、東海岸などアメリカの他の地域では地震の心配をしなくていいのは安心ですね。また、カリフォルニアでは近年水不足が深刻でそれに伴う山火事も多発しています。最近でもLA付近で大規模な火災があり、周辺の大学などは休校していたようです。

また、カリフォルニアの都市部は物価が高いことでも有名です。特にシリコンバレーの中心都市であるサンフランシスコの不動産価格の高騰は全国的に知られています。僕の通ったStevensonのようにボーディングスクールは基本的に田舎にあるのであまり関係ないかもしれませんが、物価の高さは特に学生としては好ましくないですね。

もうひとつカリフォルニアが東海岸に比べ劣る点といえば、私立教育機関が少ないことでしょうか 。私立大学の数も少ないですし、ボーディングスクールの数も東海岸に比べると圧倒的に少ないように感じます。なぜこんなにも少ないのかは、カリフォルニア自体が新しい州だからだと思います。東海岸の有名私立大学やボーディングスクールの多くは、まだ教育が今よりずっと限られたひとたちだけのものだった時代につくられため、私立という形を取っているのではないのでしょうか。カリフォルニアは歴史的にはかなり新しいので人々の教育や平等に対する考え方の変化が私立教育機関の少なさにあらわれているのかもしれません。逆にカリフォルニア州の公立教育機関は注目を集めており、例えば州立のカリフォルニア大学は世界的にも評価が高いようです。


カリフォルニアといえば、ホテル・カリフォルニア
少し前に読んだ雑誌の特集で、カリフォルニアを「もうひとつのアメリカ」と謳っていました。たしかに、カリフォルニアには色んな意味で「アメリカの他の部分」との鮮明な違いがあると思います。必ずしも「他の部分」に勝っているだけのカリフォルニアではないですが、このブログを通して少しでもカリフォルニアの魅力が伝わったならうれしいです。

それでは。

コメント

人気の投稿