テストと課題と成績

 9月も中旬になりました。江原です。

 さて、今回は、僕の通ったStevenson Schoolでの授業課題やテストについて紹介していきたいと思います。

 過去のいくつかの記事でも触れられているとおり、ボーディングスクールは一般的に授業で課される勉強量が比較的多いです。この記事では、実際にどのような授業課題が出て、それがどのように通知表の評点をなすのか、僕が高校で受けたいくつかの授業での経験をもとに見ていきたいと思います。

 まず、そもそもボーディングスクールでどのような基準をもとに通知表の成績をつけているのかというと、
93%以上: A
90%以上: A-
87%以上: B+
83%以上: B
80%以上: B-
のような規則でAからDまで、落第の場合はFが与えられる、という感じです。クラスによって幅がありますが、僕の感覚だと、BからA-の間がクラス平均の成績、といった感じでしょうか。

 さらにこれらの成績が、
A: 4.0
A-: 3.7
B+: 3.3
B: 3.0
B-: 2.7
のように数字に換算され、これらの数字の全教科の成績の平均値が、GPA (Grade Point Average)と呼ばれる成績の総合値となり、学生の学業能力を計るひとつの重要な指標として大学受験などでも使われます。(学校側が上級レベルと定めるクラスなどに関しては、数字の換算はこの通りではない場合もあります。例えば、A: 4.3, A-: 4.0という具合です。)

 実は、日本の中高一貫校からボーディングスクールに進学した僕は、最初、この基準、特に93%以上を取らなければ最高評点がもらえないという部分に戸惑いを感じました。というのも中学時代は、ほとんどの教科で80%とれれば学年トップクラスの成績で、教科によっては学年平均が60%を割ることもありました。ですので、Stevensonにきて、80%とっても平均に満たないという基準を知った時は軽くショックを覚えました笑。また、日本にいた時は、期末試験の成績がそのまま学期末の最終評点だったので、宿題や授業への参加具合などが評価されるということにも最初は驚かされました。

 ということで、以下に具体的に僕が高校時代に取ったふたつの授業での課題と成績について見ていきたいと思います。

12年生の数学(多変数微分積分)
 最終学年で僕が履修した数学のクラスは、成績のつけられれ方こそシンプルでしたが、課題量は多かったです。
 まず、成績の10%が毎日の宿題でした。授業は月から金まで毎日あったのですが、その日習った範囲に基づいた問題集の問題が10問前後、次の日までの宿題として課されました。扱う数学の概念が難しいことも多く、平均して1日1時間、長い場合だと2時間以上掛かることもありました。毎日10点満点で評価され、それの平均点がそのまま全体成績のうちの10点分に換算されました。
 そして、60%は章ごとのテストの点数です。学期ごとに3回このテストがあったので、1つのテストが全体成績の2割ということになります。3週間ほどで習った範囲の復習テストという位置づけでした。クラス平均があまり喜ばしくない場合は、先生が点数のかさ上げを行った場合もありました。
 そして、残りの30%が期末試験の点数です。これは各学期末の2時間のテストで、全体の成績に対する配分も大きく、クラスメイトとヒーハーいいながら勉強しました。証明問題などはなく、基本的にがんばって計算すればどうにかなるテストで、そこまでヒーハー言う価値があったのかは微妙ですが。
 というような感じで、これらの合計が、学期末の成績でした。ちなみに、僕自身の成績はあまり思わしくなく、この分野の理解もあまり定着していないので、同じ分野の授業を大学でも取ることにしました。

10年生の歴史(世界史の後半)
 僕がボーディングスクールに来て最初の年に取った歴史のクラスです。Stevensonでは、9年生と10年生の二年間で世界史をまるまる学ぶのですが、僕の場合は10年生で編入した都合上、色々すっ飛ばして13世紀ぐらいからのスタートでした。日本の学校にいた時は、歴史はかなり得意だったのですが、自分の英語力と課題量の多さで、かなり出鼻をくじかれた記憶があるクラスです。
 まず全体成績の15%が、宿題の評点でした。具体的には、毎日教科書20ページほどのリーディングが課され、それを読んだ上で、いくつかの記述問題に答えるといったものでした。リーディングには知らない単語が多く、毎日2時間位平気で費やしたりと、苦労しました。
 さらに10%ほどが、授業への参加具合です。ボーディングスクールでの人文系科目のほとんどがそうなように、このクラスもディスカッション主体でした。例えば、先生が「原爆投下は正当化されるのか」と学生に問い、生徒一人ひとりが各自の意見を述べあっていって、その各自の発言の授業への貢献度を先生が評価します。初期の頃は特に、発言するたびに緊張していて、ここでもなかなかに苦労しました。
 そして、50%が小テストの成績でした。学期ごとに4回ほど、授業一コマ分(45分)の復習テストがあり、それの平均が、全体成績の半分でした。テスト内で必ずエッセイを書く部分があり、最初の頃はテストが時間内にまったく終わらなかったこともありました。
残りの25%が期末試験の成績でした。2時間の試験で、選択式のセクション、数行の記述問題のセクション、ふたつのエッセイを書くセクション、の3部分に分かれていました。ここでもやはり、エッセイを時間内にふたつも書くというのが、大きな負担でした。
 ということで、今振り返ってみると、このクラスでは色々な苦労をしていたようです笑。僕のそもそもの英語力の問題もありましたが、先生が大学院の博士課程を終えたばかりの方で、彼女が生徒にもとめるレベルも高かったような気がします。期末試験の形式などは、大学での文化論の授業の期末試験とまったく一緒で、少なからず鍛えてもらったのかな、と思います。

 ということで、理系と文系のクラスそれぞれひとつずつでの成績の付けられ方でした。もちろん、授業のタイプによってはまったく異なる成績を付けられるでしょうし、学校によっても色々と異なってくる部分は多いと思います。しかし、これらのふたつのクラスでの評点方法が、ある程度平均的なものだと思います。

 また、生徒個人と先生との関係性によって成績が変わってくることもあります。例えば、僕の10年生の数学の授業では、英語がわかならすぎて、授業後に毎回先生に質問にいっていたのですが、それが功を奏し、そもそものテストや宿題での自分のパフォーマンスが上がっただけでなく、毎日質問していた努力が認められ、先生が成績にボーナスを付けてくださいました。

 以上、ボーディングスクールでの授業課題と、通知表の付け方でした。アメリカの大学受験ではGPAが審査の重要な要素なので、ボーディングスクールの学生は日々よりよい成績を目指して勉強に励みます。日々の課題がもろに成績をなす分気は抜けませんが、期末試験一発で成績が決まるよりは、日々の努力が自分自身への保険になるので、そういう意味では期末前夜の負担は少なくてすみます。

 個人的には、良い成績を取りつつ、知的好奇心の探求もできるような勉強が理想ですが、それはなかなか難しいですね。

 次回は、Stevensonで僕が好きだった授業を紹介していきたいと思います。それでは。

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